院長藤田です。
暖かくなってきて、ワキ汗が気になる季節になってきましたね。
今日は「エクロックゲル」という、ワキ汗の塗り薬の話です。
従来はワキ汗(腋窩多汗症)の治療の第一選択は「塩化アルミニウムローション」でした。
このローションは汗腺の出口を塞いで(機序については諸説あるようですが)発汗を止めるというものです。
市販のものでは「オドレミン」という商品や、海外の「パースピレックス」などがありますが、皮膚科では自家製剤で処方されています。
それぞれの医院で作成するので、調合がまちまちで、アルコール(エタノール)が入っていたりいなかったり、濃度もばらばらでした。
厳密な意味の処方薬ではなく、保険診療とは別に実費負担で購入するというもので、価格も医院によって色々。皮膚科の先生以外は処方もできないという状況だったのです。
しかし、
このたび、昨年11月に世界初の薬効をもつ「エクロックゲル」という塗り薬が発売され、治療が一変いたしました。
この薬は汗腺のレセプター(「汗を出せ」という神経からの信号を感じるところ)をブロックして、汗腺の働きを止めるという新しい薬です。
発売当初は「効果あるのかしら、これ」と半信半疑でしたが、どうしてどうして。
最近は完全に第一選択薬となりました。
ワキの多汗の治療はボトックス注射も効果が高いのですが、エクロックゲルを使ったら、予定していたボトックス注射をキャンセルした患者さんもいるほどです。
患者さん曰く、「これで十分です。痛くないし」と。
当院には多汗の方がたくさん受診されますが、効果があるので嬉しくなって第一選択でどんどん処方していたら、製薬会社さんによると、当院は全国で20位に入る処方数の施設になっているとのことです。
新薬なので1本ずつしか処方できないのですが、今年の11月末にはその制限も解除されます。待ち遠しいところです。
塩化アルミニウムでよく見られた皮膚炎も、いまのところ経験していません(※)。
ボトックス注射やミラドライ、手術が怖い、という方もエクロックゲルなら大丈夫。
痛くないし(^o^)
年齢は12歳以上なら処方可能です。
処方には診察が必要です。副作用等についてもご説明いたします。
一般診察日に受診をしてください。
老若男女問わず、ワキ汗に悩んでいる方、お待ちしています。今年の夏を快適に過ごしましょう。
※(令和3年5月21日追記:その後ちらほら「かゆみが出る」とおっしゃる方がおられます。
製薬会社の添付文書上は皮膚炎発症が6.4%です。)