診療案内

眼瞼下垂症

保険診療
形成外科

診断

うわまぶたが下がっている状態を眼瞼下垂とよびます。

生まれつきのもの(先天性)と大人になってから生じるもの(後天性)とがあります。子供の頃から自覚していたものは通常は先天性です。病歴から区別は付きやすいですが、時々迷う場合もあります。先天性か後天性かの診断は正面視から上方を向かせたときに眼瞼が更に挙上するかどうかは大きな手がかりとなります。先天性では開瞼量は増加しませんが、後天性の場合には多くは開瞼量が増えます。

正面を向いたときに瞼が瞳孔(ひとみ)にかかっていれば、明らかに眼瞼下垂です。また瞳の中心からまぶたの縁までの距離も参考になります。

注意しなければならないのは、初期の眼瞼下垂で、瞼がうまくあかなくても眉を上げることで目を開いている場合です。

おでこにしわを寄せて眉を挙げていれば眼を開いていられますが、眉を動かないように固定すると瞼を開くことができない場合は、眼瞼下垂の可能性があります。

原因

先天性眼瞼下垂は先天性多発異常に伴って生じるものもありますが、多くは他の合併症なく、瞼だけが異常という方がほとんどです。眼瞼挙筋が先天的に欠損しています。小児期に放置していると、弱視になってしまう場合もありますので、早期の治療をおすすめいたします(この場合、長野県立こども病院紹介です)。

後天性眼瞼下垂のうち、一番多いのは腱膜性眼瞼下垂といって、まぶたのこすり過ぎやハードコンタクトレンズの長期使用、アイメイクのし過ぎなどにより、瞼をあける筋肉が伸び切ってしまっているものです。もともと一重まぶたで開瞼が不十分な場合は症状が出やすいようです。

重症筋無力症などの神経・筋疾患で眼瞼下垂になる場合もあります。

症状

眼瞼下垂を放置していると、見えにくさはもちろんのこと、額のシワがふえ、さらに、頭痛、肩こり、まぶしさ、不眠などの原因になることがあります。これは眼瞼下垂があるに頑張って眼を開いていると体の緊張状態が続いてしまうことによります。

信州大学形成再建外科学教室名誉教授である、松尾清先生が手術の効果を発見し、研究に研究を重ねてこられた眼瞼下垂症の病態生理ですが、私も大学病院勤務時代に研究の一翼を担わせていただきました。

治療方法について

後天性、腱膜性眼瞼下垂、いわゆる「普通の眼瞼下垂の手術」について説明します。

デザイン

まず最初に座った状態で、まぶたの状態を診察し、二重の切開線の位置などを慎重に決定します。眉の挙げ方、下眼瞼の緊張具合などを注意して観察します。

次に横になっていただいて、瞼の皮膚に実際に切開する線をインクで書いていきます。眼を閉じた状態で書きますが、時々目を開けていただいて、デザインがあっているか確認します。

局所麻酔

まぶたに直接注射を打ちます。できるだけ細い針で、ゆっくり薬剤を入れるようにして、なるべく痛みがないようにしています。以前はキシロカインという薬のみを注射していましたが、患者さんによっては途中で麻酔効果が切れてきて、痛みがある場合があるため、最近ではアナペインという長時間効く麻酔薬も使用しています。この工夫で、術中の痛みはほぼなくなりました。

手術

二重になるラインを皮膚切開、皮膚切除(行わないこともあります)

まぶたの開きのじゃまになる組織を十分に除去します。これは、症状改善のために重要な操作です。

次いでまぶたを上げるための筋肉である、眼瞼挙筋の固定を行います。

最後に二重の作成をして、終了です。

手術は両目で1時間程度です。

手術後はリカバリールームで30分ほど瞼をクーリングしながらお休みしていただきます。

問題なければ帰宅となります。

注意点

手術当日、翌日は、ご自身での運転は避けていただくようお願いいたします。

また、術後2週間程度はかなり腫れた状態となりますので、大きなイベントの前は手術を控えてください。

手術後は、一重の方は二重瞼になります。

術後経過

1週間で半抜糸、2週間で全抜糸です。術後は二重の幅も広いです。

早い方では2週間ほどでだいぶ落ち着きます。最終結果までは半年ほどかかります。

眼瞼下垂症手術のリスク、副作用は?

術後は、だいぶ腫れます。皮下出血は少ない場合もありますが、ほぼ必発です。

誰にもバレずに手術、というのは難しいかもしれません。

ただ、保険診療で病気の治療のための手術ですから、引け目に感じることはないのかもしれません。

まぶたの開きや二重幅の左右差が生じる可能性があります。

まぶたの開きすぎや、開き不十分の可能性もあります。とくに開きすぎは大変つらいので気をつけています。

必要に応じて修正手術を行う場合があります。

出血、腫脹、感染、麻酔のアレルギー、左右差、眼瞼痙攣 等

リスクについては術前に詳しくご説明します。

当院でできる手術⑦:眼瞼下垂の手術治療

眼瞼形成手術(二重手術・眼瞼下垂手術)

もご覧ください。

 

術前。左眼瞼下垂があります。
術前。左眼瞼下垂があります。
手術直後。バランスを取るため右も手術を行っています。
手術直後。バランスを取るため右も手術を行っています。
術後半年。自然な形態になっています。
術後半年。自然な形態になっています。

 

個々の患者様の状態により治療の結果は異なります。

眼瞼下垂症の費用は?

診察の上、眼瞼下垂症と診断された場合には、保険診療で手術を行います。

3割負担なら両側で43200円、その他初再診料がかかります。

抗生物質や痛み止めなどお薬を処方致しますので、お薬代は薬局でのお支払いとなります。

もともとの一重瞼によるまぶたの重さの場合や、美容目的の手術の場合には、自費診療となります。

自費手術の場合には、両側 330,000円/片側 165,000円 の費用がかかります。

 

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