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当院でできる手術⑦:眼瞼下垂の手術治療

院長藤田です。

当院で可能な手術をご紹介します。今回は眼瞼下垂です。こちらの記事もご参照ください。

うわまぶたが下がっている状態を眼瞼下垂とよびます。

生まれつきのもの(先天性)と大人になってから生じるもの(後天性)とがあります。

今回は後天性眼瞼下垂について書きたいと思います。

正面を向いたときに瞳孔(ひとみ)が隠れるような状態が眼瞼下垂です。

注意しなければならないのは、初期の眼瞼下垂で、瞼がうまくあかなくても眉を上げることで目を開いている場合です。

おでこにしわを寄せて眉を挙げていれば眼を開いていられますが、眉を動かないように固定すると瞼を開くことができない場合は、眼瞼下垂の症状があるといえます。

後天性眼瞼下垂のうち、一番多いのは腱膜性眼瞼下垂といって、まぶたのこすり過ぎやハードコンタクトレンズの長期使用、アイメイクのし過ぎなどにより、瞼をあける筋肉が伸び切ってしまっているものです。

眼瞼下垂を放置していると、頭痛、肩こり、まぶしさ、不眠などの原因になることがあります。これは眼瞼下垂があるに頑張って眼を開いていると体の緊張状態が続いてしまうことによります。

信州大学形成再建外科学教室名誉教授である、松尾清先生が手術の効果を発見し、研究に研究を重ねてこられた眼瞼下垂症の病態生理ですが、私も大学病院勤務時代に研究の一翼を担わせていただきました。

私の眼瞼下垂に関する代表的な論文は以下の通りです。松尾先生にご指導いただいた研究です。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23157498

内容はちょっと難しいのですが、「ラットのまぶたの神経(涙腺神経)は三叉神経中脳路核に連続しており、そのすぐ近くに脳の覚醒をつかさどる青斑核がある」というものです。

一般の方には、なんのことやら、という感じと思いますが、

この研究により、眼瞼下垂を放置すると、脳の過緊張が持続し、不眠、うつなどの不調をきたす可能性が示唆されました。

松尾教授のご指導により、眼瞼下垂の有意義な研究ができたことに感謝しております。夜な夜なラットと向き合った日々はつらかったですが、過ぎてしまえば思い出ですね。

さて、手術の実際についてご説明します。

まず最初に座った状態で、まぶたの状態を診察し、二重の切開線の位置などを慎重に決定します。眉の挙げ方、下眼瞼の緊張具合などを注意して観察します。

次に横になっていただいて、瞼の皮膚に実際に切開する線をインクで書いていきます。眼を閉じた状態で書きますが、時々目を開けていただいて、デザインがあっているか確認します。

次に局所麻酔です。まぶたに直接注射を打ちます。できるだけ細い針で、ゆっくり薬剤を入れるようにして、なるべく痛みがないようにしています。

しばらくして麻酔が効いたところで手術をはじめます。

まず皮膚切開、皮膚切除、眼輪筋の切除を行います。

特に眼輪筋は術後の形に大きく影響するので、慎重に切除しています。

その後眼瞼挙筋の露出、挙筋腱膜と瞼板との固定などを行っていきます。

瞼の空き具合が良いか、左右差はないか、三角眼になっていないかなどチェックのため、術中に座っていただいて確認をします。

最後に二重の作成をして、もう一度最終確認をして手術を終了します。

手術は両目で1時間程度です。

手術後はリカバリールームで30分ほど瞼をクーリングしながらお休みしていただきます。

手術で緊張した患者さんにお休みいただく目的と、術後出血を観察する目的です。

問題なければ帰宅となりますが、ご自身での運転は避けていただくようお願いいたします。

また、術後2週間程度はかなり腫れた状態となりますので、大きなイベントの前は手術を控えてくださいますようお願いいたします。

手術後は、一重の方は二重瞼になります。一重まぶたよりも二重まぶたの方が効率よく瞼を開くことができるのと、二重の線に傷あとを隠すことができるので、より目立ちにくくするために二重にするのです。

先天性眼瞼下垂についてはまた次回以降で書かせていただきます。

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