院長藤田です。
脂腺母斑のお話です。意味不明な表題ですみません。
あまり多くの方に馴染みがないかもしれません。うまれつきのあざの一つで、肌色~褐色のザラザラした表面をしている皮膚病変です。
多くは頭部にできて、いわゆる「10円はげ」のような見た目になります。
治療法は今の所「切除」しかありません。将来的に皮膚がんになるリスクも少ないながら(5%以下と言われています)あります。ただし中年以降です。
見た目も気になりますし、がん化のリスクもありますし、切除をおすすめ致します。
問題は「いつ取るか」ということです。
(以下、完全な私見ですので、違う意見の先生もいると思います。割り切ってお読みください。)
結論から言いますと、「頭部の1円玉の大きさ以上の脂腺母斑は、小学校就学前に全身麻酔で切除すべき」です。
それはなぜか?私の経験から申しますと、「思春期以降の脂腺母斑切除手術は、術後もハゲが残りやすい」からです。
ときどき、脂腺母斑の患者さんが受診されますが、子供の頃からあったけれど、他院でみてもらって「局所麻酔の手術ができるようになったら、取りましょう。」と言われてくる方もおられます。でもこれは私が思うに、アウトです。
頭皮でも、ごく小さなものならその方針でも問題ありません。また、顔や首など、頭皮以外の部位ならばそのほうが良い場合も多いです。手術の時期が違っても、結果に大きな差がないので、全身麻酔のリスクや入院の手間などを考えると局所麻酔手術に分があります。
でも、ある程度大きな頭皮の脂腺母斑では、それがうまくいきません。
思春期になると、頭皮が分厚くなります。サラサラだった細い髪の毛が大人の剛毛に変わるのはよく実感されると思います。
この「思春期に、少年から大人に変わる(ワカリマスカ、徳永英明)」時期に、頭皮も分厚く大人になるのです。
脂腺母斑を切除したら、皮膚を縫合して閉鎖するのですが、大人の頭皮は本当に分厚くて、キツイ、伸びない、縫いにくい。
頭蓋骨から頭皮を大きく剥離をして、ようやく縫合閉鎖ということになります。
うまく緊張なく縫合できればよいのですが、縫合時の皮膚の緊張が強いと、術後は徐々にキズあとの幅が広がって、もとの脂腺母斑と同じぐらいのハゲたキズあととなって残ってしまうこともあります。
私の手術が下手だからそうなる^^;)というわけではなく、形成外科医の中ではよくある経験です。
え、自分はもう大人になっているけど、切除したいけど、という方。
ご相談ください。
当院で可能と判断すれば、脱毛リスクをご承知頂いた上で、切除しています(なるべく脱毛が少ないよう工夫しています)。
大きいものについては病院での全身麻酔の手術のほうが結果が良いので、病院をご紹介させていただいています。
表題ですが、徳永英明の「壊れかけのRadio」という曲のサビに「思春期に少年から大人に変わる」というフレーズがあるのです。言いたかったのは、頭皮も思春期に少年から大人に変わるから早く切除しようね、というココロです。
ただ、この曲が流行ったのは1990年。このブログの読者が脂腺母斑のお子さんの保護者様でしたら、生まれた頃の曲でご存じない方が多いのかもしれませんね。当時18歳の私は、カラオケで友達がこの曲を歌うのをよく聞いていましたが、いつの間にか、もうすぐ50のおっさんです。