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生まれつきの黒あざの手術【症例写真】

院長藤田です。

今日は生まれつきのあざの治療のお話です。

近年はレーザー治療で治るあざ(太田母斑、異所性蒙古斑など)もありますが、
レーザーが無効なあざも数多くあります。

レーザーが無効なあざの場合には切除手術が選択肢に上がってきます。

今回は顔の黒いあざ(先天性色素性母斑)の手術治療について症例をご紹介します。

13歳の女性、左頬の黒色のあざです。


このタイプのあざにはレーザーは大変効果が低く、行う場合も保険適用ができません。
(ただし、切除できないほど大きな黒色のあざの場合には主治医の判断でレーザー治療を選択する場合もあります。)

この方の場合にはレーザーではなく、手術がよいと考えました。

ただ、年齢的に若く、中学生1年生だったため、正直なところ手術することを若干躊躇しました。

手術は1時間程度かかり、局所麻酔手術は成人でも結構大変だからです。

しかし、この患者さんは中学生ながらも、ご本人様の治療希望がしっかりとあり、通院での手術を希望されたため、手術を行いました。

顔のあざを単純に切除して縫合する場合、一番よく行うのは単純切除です。

その場合は、傷あとはシンプルな直線になります。

しかし、この方のように頬外側の大きなあざを単純切除すると、

傷あとが長くなりすぎ、

輪郭のへこみがでることがあります。

そこで、今回は局所皮弁手術を計画しました。

ゆとりのある部分の皮膚をずらして、皮膚欠損部分に充填する術式です。

術前デザイン。

あざの横の皮膚をずらして縫合するデザイン
ずらす部分(皮弁)には皮膚のゆとりがあることを、指でつまんで確認しています。

術直後の縫合後

あざを切除し、あざの後方の皮膚をずらして縫合してあります。
斜め前から。頬の輪郭のゆがみが少ないことを確認しています。

術後1週間

術後6日で抜糸しました。皮下縫合(真皮縫合)しているので、早期抜糸でも傷は開きません。

1か月

まだ少し傷あとが目立ちます

4か月

少し目立たなくなってきました

1年後

斜め前から
心配された輪郭のゆがみはほとんど目立ちません

わずかに皮膚のよどみ(ドッグイヤー)がありますがほとんど目立たず満足していただいています。

顔のあざの切除手術は患者さんごとに症状が異なるので、毎回頭を悩ませながら手術しています。

あざ治療はこども病院形成外科勤務の時代に多く手掛けていますので、自分の経験を活かせる分野だと思っています。
うまくいったときの満足感はひとしおで、大変やりがいを感じる手術でもあります。今後も精進したいと思います。

局所麻酔手術では対処できないようなあざや、幼少の患者さんについては全身麻酔手術のできる病院形成外科での手術をお勧めいたします。また、遠方で通院が大変な患者さんもお近くの施設をお勧めすることがあります。長野県は形成外科医が充実していて、多くの基幹病院には形成外科がありますので、適切な施設をご紹介させていただきます。

【注意】

手術の方法、経過、結果は、治療施設ごとに異なりますので、主治医の先生にご相談ください。

また、手術の経過、結果は症例ごと、重症度ごとに異なります。手術には必ずリスクが伴います。

手術のリスク、副作用:出血、皮下出血、感染、皮弁壊死、顔の輪郭の変形、傷跡がめだつ、局所麻酔薬アレルギー等

手術の費用:保険診療です

症例写真の使用につきましては、ご本人及び保護者様から書面による同意をいただいています。

「同じような患者さんに、治療の経過を知ってもらえるならうれしい。」とのお言葉をいただきました。

ありがとうございます。

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