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陥没乳頭の手術治療について【図解】

院長藤田です。

今日は陥没乳頭の話。

乳頭が陥没している状態のことを陥没乳頭といいます。

患者さんは比較的多いといわれていて、女性の2-10%の方が陥没乳頭だといわれています。

軽度で、刺激すると乳頭が出てくる状態なら授乳にも問題ないですし、治療の必要はありません。

授乳を経験すると治癒する場合もあります。

ただ、全く乳頭がでてこない重症の方も時々いらっしゃいます。

「自分の乳頭を全く見たことがありません」という状態です。

 

陥没乳頭は先天性疾患で、とくに原因はありません。もともと乳管の形成がわるく、短いために陥没しています。

私は陥没乳頭という疾患は、先天性眼瞼下垂や、折れ耳、立ち耳、口唇裂、多指症などの体表先天異常と同列だと考えています。

ただ、そのように扱われることはすくなく、医療機関でも積極的に治療している施設は少ないとおもいます。

私はもともと小児先天異常の形成外科を専門にしていたということもあり、陥没乳頭の手術治療を積極的にやってきました。

術式も従来の方法に加えて色々工夫し、なるべく再発なく、低侵襲で手術を終えられるように工夫しています。

大きな病院で陥没乳頭の手術をすると、多くの場合入院治療になってしまいますが、外来治療できるのは当院のメリットと思います。

また保険適用の条件は「授乳目的」ですので、閉経前の方では当院では保険適用としています。

 

手術の方法ですが、重症の場合には、現在は主として酒井法という方法で手術を行っています。酒井成身先生という日本のレジェンドの形成外科の先生が考案した方法です。

方法について簡単に略図とともに御説明します。

➀局所麻酔の注射 乳輪部分に直接注射する。痛みが少ないよう極細針を使用します。

②乳頭の切開 陥没している乳頭を上下に二分するように切開します。

③乳管の剥離 拘縮している乳管を切らないように丁寧に剥離します。

④縫合 分離した乳頭を合わせるように中縫いで縫合します。

⑤乳頭のくびれ作成 乳頭基部でくびれができるように必要に応じて細工をしながら縫合します。

 

術後はガーゼを当てて帰宅になります。

術後1-2日目に再診し、乳頭の状態(血行など)を確認します。その後自宅で軟膏処置となります。

術後4日目ごろ再診し、問題なければシャワー浴OKとなります。

術後7日、術後14日と受診して頂き、経過をみます。

術後14日で抜糸をおこないます。

 

術後当日、翌日は痛みがありますが、内服の鎮痛薬でコントロール可能な程度です。

術後は乳頭が突出し、授乳がしやすくなりますので、授乳に不安がある場合には妊娠前に手術を受けられることをお勧めします。

手術年齢ですが、決まった基準はないのですが、早くても20歳以降が適齢と考えています。乳頭の発育を十分に待った方が治療の結果が良いように思います。ただしこれは私の個人的見解ですので、他院の方針と異なるかも知れません。

治療後希望の方は一般診察日に受診してください。

デリケートな部分ですので、診察には必ず女性看護師が同席します。

 

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