院長藤田です。お久しぶりです。
新型コロナの緊急事態宣言で、すっかりブログの更新が遅れていました。
今日は耳瘻孔の話。
当院のブログの中で最も読まれているのが「耳の前に生まれつきある穴:耳瘻孔(じろうこう)は取るべき?」(2017年10月公開)です。
どうして閲覧数が多いのかよくわからないのですが、検索エンジンで上の方に表示されるようです。
耳瘻孔について書いてあるネット記事が少ないからでしょうか。ニーズに応えて記事を追加します。
今日は感染して腫れてしまった耳瘻孔の手術の実例紹介です。
写真の使用許諾を患者さんからいただきましたので紹介します。
生まれつきの耳瘻孔で、子供の頃から時々腫れて痛い思いをしたそうです。
外科や耳鼻科や皮膚科で切ってもらって膿を出したり、抗生物質を内服したりしてしのいでいたそうです。
当院のホームページをご覧になったそうで、受診されました。
初診時には、痛み、腫れがあったので、局所麻酔注射をして、切開、排膿を行いました。
1ヶ月後にはだいぶ落ち着きました。
3ヶ月後に瘻孔の摘出術をおこないました。
耳の前の変色した部分はとらなくても大丈夫なのですが、
皮下の塊は全部取らなければ再発(また腫れる)してしまいます。
大切なのは瘻孔を取り残さないこと。
まず局所麻酔注射をして、
そのあとメチレンブルーという染料で瘻孔内を染色します。
しっかり全切除するためにL字型に皮膚を切開します。
縦切開だけでは取り残しやすいですし、平行な2本切開線では術野の視野が悪く、瘢痕もあまりきれいではありません。
耳瘻孔からつながった汚い組織もすべて切除します。
皮膚の下の空洞は少しならそのままで大丈夫ですが、大きいときは周りの組織を寄せてきて縫合し、血がたまらないようにします。
1週間後、順調に治癒しました。
本当はこじらせる前に摘出すればいいのですが、命に関わるものでもないし、仕方ないですね。
しっかり治しますのでご安心ください。
注意:
すべての患者さんが症例写真のように治るとは限りません。
リスク・副作用・合併症について
出血・感染・薬剤アレルギー・瘻孔の残存、再発、傷跡が目立つ、等