院長藤田です。
挑戦的な題名なんです。これ。
解説していきます。
2020年に処方が可能になった腋窩多汗症(多すぎるワキ汗)の塗り薬「エクロックゲル」と
同じ効能効果のある「ラピフォートワイプ」という塗り薬があります。
これらは「抗コリン外用薬」というもので、
神経から「汗を出せ」という指令をする物質(アセチルコリン)がでて、汗腺(エクリン汗腺)でそれを受け取り、汗がでる、出過ぎてしまう、という腋窩多汗症に対して、汗腺のアセチルコリンを受け取る部分(受容体といいます)をブロックして、指令が入らないようにする塗り薬です。
これが大変よく効く。
個人差はあれど「これすごいっすね」とよく言われます。
良いお薬がでたものです。
ただ、ワキ汗のもう一つの悩みとして「におい」は大きな問題です。
建前上はエクロックゲルもラピフォートワイプも多汗症のお薬ですので、ワキガの効能は謳ってはいけないことになっています。
ただ嬉しい副産物でワキのニオイもかなり減るという経験を皆さんお話しされます。
でも、どうしてニオイが減るのかは正直よくわかっていません。
ニオイがする汗はアポクリン腺という汗腺からの発汗によるもので、この汗腺はアセチルコリンで発汗するわけではなく「ノルアドレナリン」という別の物質の刺激で発汗する、ということになっているからです。
だから「汗が減ったから結果的に発酵しなくなって臭わないんじゃないか」とか「薬に入っているエタノール(アルコール消毒で使われるやつ)が効いているのでは」なんて言われています。
私は「アポクリン腺にもアセチルコリン受容体があるという説」(いくつか論文あり)が最も考えやすいと思っています。でもメジャーな意見ではありません。今後の研究が期待される分野ですね。
ワキ汗で受診した患者さんにお聞きすると、約75%の方がワキのニオイもお悩み(当院調べ)ですので、塗り薬がワキのニオイにも効いてくれたら良いですよね。
冒頭で挑戦的といったのは、処方するときには「ニオイに効果がある」と言ってはならないからであります。
保険の適応症というのは微妙なものでして、、
何にしても患者さんからしたら、ワキの汗の量とニオイにきいてくれるなら嬉しいですね。
これから汗が多くなる季節です。お困りの方はご相談ください。
塗り薬だけではなく、ボトックス注射(健康保険適用)、ミラドライ(自費)、ワキガのニオイの強い方は手術(健康保険適用)まで対応可能です。
当院では毎日ワキ汗の患者さんを診察しています。
悩んでいるのはあなただけではありませんよ。