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新年のご挨拶と、2025年 当院の手術件数ベスト10

院長藤田です。新年あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

恒例によって、新年のこの時期に、昨年1年間の主な手術について、手術件数や感じていることなどを、新年の暇にまかせて振り返ってみようと思います。

私は形成外科専門医で、本来は手術治療を専門としていますが、日々診療していると、
「ここで手術もできるんですか?」
と驚かれることがあります。
その際には「いえ、むしろ手術のほうが専門です」とお答えしています。

さて、手術は一体、何歳まで上達するのでしょうか?
年齢を重ねるほど経験が蓄積され、上達していく面は確かにありますが、正直なところ、もう上達曲線がプラトーに達していると感じる手術も少なくありません。
そう感じながら迎えた54歳の正月です。

今後は単なる経験値の積み重ねではなく、振り返りや症例の検討を重ねることで、より一層、治療のクオリティを高められるよう努力していきたいと考えています

なお、以下に挙げた件数は患者さんの人数です。
例えば両側の眼瞼下垂手術の場合でも、「1件」としてカウントしています。
両側手術を2件と数える施設もありますが、本ブログに記載している件数は、純粋に手術を受けていただいた患者さんの人数を示したものです。

1. 皮膚・皮下腫瘍切除手術 252件

皮膚・皮下腫瘍の切除手術は当院で最も多く行っている手術です(ほくろのレーザー治療などは除きます)。

急に腫れて痛みを伴う炎症性粉瘤については、可能な限り受診当日に切除をおこなっています。一方、症状が安定しているものについては予定手術として対応しています。

粉瘤についてはできるだけ小切開で、かつ再発しないように全摘することを目標に術式を工夫しています。
具体的には小さく、被膜の圧出が可能と判断されるものや、炎症を伴うものには「くり抜き法」を、再発を繰り返しているものについては皮膚をしっかり切開し、全摘を主眼においた方法で手術を行っています。

昨年からの取り組みとして、すべての手術において術後のリカバリータイムを設けるようにしました。
これまでは手術終了後にすぐに会計、帰宅としていましたが、術後出血を予防する目的で、院内で10~30分程度安静にしていただき、その後に創部の止血を確認してから帰宅していただいています。

術後に手術内容や注意点を落ち着いて説明する時間も確保でき、患者さんにより安心していただけているのではないかと感じています。

※皮膚・皮下腫瘍切除手術については診療案内ページで詳しく解説しています。

2. 耳介ケロイドの切除 32件

ピアス後に生じた耳介ケロイドについては手術治療をお勧めしています。
一般的にケロイドは、手術によって再発しやすいため、手術になることは少ないのですが、耳のピアス後のケロイドについては手術治療が有効なケースが多いと考えています。

ただし再発の可能性はゼロではないため、術後は半年間の通院治療をお勧めしています。
切除してしまうと耳の変形が懸念される場合には、周囲の皮膚を移動させて縫合する皮弁手術を併用し、できるだけ形態を保つよう工夫しています。

3. ミラドライ 29件

ミラドライというのはワキ汗やワキガの治療に用いる医療機器・施術名です。
皮膚を切開せずにマイクロ波(電磁波)を照射することでワキ汗の原因となる汗腺を熱変性させ、症状の改善を図ります。

手術と比べると術後の生活の制限が少なく、傷あとも残らないため、非常に人気のある治療です。ただし健康保険は適用されませんので、ご注意ください。

4. 眼瞼下垂手術 24件

眼瞼下垂は開業以来継続して行っている手術の一つです。
私の恩師である松尾清先生(信州大学形成再検外科学講座名誉教授)の専門分野であったこともあり、医局員時代は眼瞼下垂による身体症状(頭痛、肩こり等)について研究していました。

開業当初は「ある程度のダウンタイムは仕方ない」と考えていましたが、多くの症例を経験する中で考えが変わり、現在ではできるだけ低侵襲で、腫れを抑え、早期回復を目指す手術を心がけています。

中等度から重度の眼瞼下垂については、機能的な障害を伴うため、健康保険適用で手術を行っています。
一方、軽症の場合には、手術の主な目的が整容面の改善となることも多いため、自費での手術として、見た目のバランスにも配慮し、より満足度の高い結果を目指しています。

4. 陥入爪手術 24件

陥入爪(いわゆる巻き爪)の手術も多く行っています。
陥入爪とは、爪の端が皮膚に食い込んでしまう状態を指します。悪化すると赤く腫れ、歩行時に強い痛みを伴い、さらに酷くなると不良肉芽(ふりょうにくげ)(赤く出血しやすい肉の塊)を生じることもあります。

これは爪のトゲが皮膚に刺さっている状態であり、原因となる爪のトゲを除去しないと非常に治りにくいものです。不良肉芽を伴う場合には、受診当日に部分抜爪(爪母温存・爪甲縁楔状切除)を行っています。

術後は翌日から痛みが軽減し、1週間ほどで創部も乾きます。
手術翌日から入浴も可能ですので、悩まれている方は早めの受診をお勧めします。

6. 埋没法二重手術 18件

埋没法は腫れが少なく短時間で行える非常に優れた二重手術の方法です。一方で二重が外れてしまう可能性がある点が欠点ですが、まぶたの薄い方では長期間維持されることも多くあります。

両側で30分程度の手術ではありますが、決して「簡単な手術」ではありません。二重の幅の左右差には細心の注意が必要であり「切開法と比べれば」簡単な手術、ではありますが、決して気を抜くことはできない繊細な手術です。

若い方向けの手術と思われがちですが、年齢とともに皮膚がかぶさってきたものの、皮膚切開は抵抗があるという方にも適した手術です。

7. クマ取り手術 17件

下眼瞼のクマに対する手術治療です。

経結膜脱脂や、凹みにに脂肪を移動させる脂肪再配置(裏ハムラ法)を行っています。

これらはいずれも皮膚表面に傷が残らず、抜糸も不要な手術です。
近年注目が高まっている分野であり、インターネット上では美容外科医同士の様々な議論も見られます。

当院では患者さんのご希望と、クマの状態を踏まえ、適切な術式を選択しています。
治療結果の見込みについて丁寧に説明したうえで手術を行うことが重要だと考えています。

8. 陥没乳頭形成術 10件

陥没乳頭は見た目の悩みだけではなく、授乳への不安も伴うため、悩まれている方が多い疾患です。
刺激で乳頭が突出する「仮性」の場合は大きな問題にならないことが多いですが、生まれてから一度も乳頭が出たことがない重症例では、自然改善は期待しにくく、手術治療をお勧めしています。

本治療は全例、健康保険適用で行っています。

※ 陥没乳頭形成術については、診療案内ページで詳しくご説明しています。

9.下眼瞼睫毛内反症・眼瞼内反症手術 7件

下まぶたの逆さまつげに対する手術です。
この疾患は生まれつき睫毛が眼球のほうに向いている「睫毛内反症」と、加齢によって下まぶたが内側にめくれ込む「眼瞼内反症」に大別されます。

いずれも睫毛が眼球に接触することで、角膜が傷つき、目の痛み、異物感、涙や目やにが増えるなど、日常生活に支障をきたす深いな症状を生じます。

これらの疾患に対しては手術治療が最も有効です。
ただし再発しやすいことも知られているため、当院ではできるだけ再発の少ない術式を選択して治療を行っています。

本手術はすべて健康保険適用で行っています。

なお、当院で手術が可能なのは局所麻酔で対応できる年齢の患者さんに限られます。
小児の患者さんについては全身麻酔が必要となることが多いため、
長野県立こども病院形成外科、または 信州大学病院形成外科
へご紹介させていただいています。

10. 腋臭症手術 6件

強い臭いを伴う腋臭症に対しては健康保険適用で手術治療を行っています。
ただし事前診察で実際に臭いを確認できた場合のみ手術としています。臭いが確認出来ない場合には、他の治療法をご提案します。

手術方法については、昨年、美容外科医向けの教科書を分担執筆しました。
術後は頻回の通院が必要で、傷あとも残るため、「費用が安いから」という理由で安易に選択すべき治療ではありませんが、効果の高い治療法であることは確かです。

※腋臭症手術については診療案内ページで詳しく解説しています。

まとめ

以上、昨年1年間に当院で行った手術件数ベスト10でした。お読みいただきありがとうございます。
ここに挙げたもの以外にも、患者さんの症状やお困りごとに応じて、さまざまな疾患に対応しています。
皮膚科診療についても、引き続き最善の治療を提供できるよう努めていきたいと考えています。

手術は私にとって「日常」でも、患者さんにとっては「非日常」です。
漫然と手術を行うのではなく、一人一人の患者さんに向き合う姿勢を大切にしたいと思っています。
2026年も、よろしくお願いいたします。

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