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耳の前に生まれつきある穴:耳瘻孔(じろうこう)は取るべき?

こんにちは。院長の藤田です。

今日は先天性耳瘻孔(場所によって耳前瘻孔、耳介瘻孔ともいいます)についてお話します。

耳瘻孔は30-50人ぐらいに一人の割合でみられる、耳の周りの皮膚の穴です。

つまり一クラスに一人ぐらいは耳瘻孔の方がいる、ということです。

皆さんは見たことありますでしょうか。自分は医者になるまでこの穴の存在は知りませんでした。

患者さんにお聞きすると「学生の頃はシャープペンシルの芯を穴に刺して、友達に見せて喜ばれた・・・」

とかいう話も聞きますので、自分に穴がなくてもお友達のものを見せてもらった方もいるかもしれませんね。

この穴、お母さんのおなかの中で耳が作られるときの名残といわれています。

耳は6つの丘(auricular hillockといいます)から形成されるのですが、耳の前の穴は1番目の丘と2番目の丘の間の境の名残なのです。

理論上はこの丘の間にはどこでも穴ができることになります。

一番多いのは耳の前の穴ですが、ほかの部分にも穴があきます。

ふつうは放っておいても大丈夫なのですが、かゆい、くさい汁がでる、腫れて痛みがあるなど、症状がある方は手術が必要です。

そのまま放っておくと感染がひどくなって、耳の前に大きな傷を残してしまうこともありますので、受診はお早めに。

20分-30分ぐらいでおわる簡単な手術です。小学校高学年以上なら局所麻酔注射さえがんばっていただければ外来日帰りで手術できます。

術前です
手術の切開ラインです
術後3年です。ほとんどきずあとはわかりません。

で、結局表題の取るべきかどうか?ですが、少しでも気になる症状があれば(少しのにおいでも)切除するのがよいと思います。

においがするような瘻孔は将来的に、大事な人生のイベントの時に、ストレス、疲れなどから感染する方もおられますので、

症状が軽いうちに取ってしまうほうが良いと思います。

手術後は傷跡はわずかに残りますが、ほとんどわからなくなることが多いです。

当院は土曜日午後も手術可能ですので、お仕事への影響は最小限かと思います。

気になる方は受診をおすすめします。

 

注意:

すべての患者さんが症例写真のように治るとは限りません。

リスク・副作用・合併症について:

出血・感染・薬剤アレルギー・瘻孔の残存、再発、傷跡が目立つ、等

 

ほうっておくとこのように化膿することがあります。耳の前まで腫れてしまっています。

 

追記2020年6月17日

腫れてしまったあとの、手術法についてこちらのブログに掲載しました。

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