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まぶたのできもの 霰粒腫(さんりゅうしゅ)の手術解説【術中写真あり】

院長藤田です。

今日は霰粒腫(さんりゅうしゅ)の話。眼科で治療されることが多い疾患です。

霰粒腫は瞼にあるマイボーム腺という脂腺のつまりによる肉芽腫です。

本当の腫瘍では無く、自然に治ってしまう場合もありますが多くは治療を要します。

治療はまず点眼薬や、ステロイドの局所注射などが試みられますが、治りが悪い場合は手術となります。

小さいものなら、瞼の裏側から切開して掻爬する方法で手術をおこないます。この手術は眼科の先生の方が得意です。

大きくなった場合も同様の手術でも良いのですが、明らかに大きな場合には皮膚を切開して摘出する場合もあります。

形成外科ではまぶたの裏側よりも皮膚からの切開に慣れていますので、皮膚を切って摘出する場合が多いです。

今日は大きくなってしまった霰粒腫の症例。写真のホームページ掲載の許可をいただきました。

20代の男性で、当初眼科に受診されたのですが、腫瘍が大きいため、眼科の先生に形成外科での切開手術を勧められて受診されました。

術前 左の上眼瞼にやや発赤を伴う腫瘤 痛みはありませんでした。
手術中 眼球は医療用保護コンタクトで保護しています(白色のもの)。腫瘤を摘出したところ。
直径9ミリの腫瘤を摘出しました 病理検査で肉芽腫性炎症(霰粒腫)と確認しました
術後の瞼の裏側の所見です。穴が空いていますが、これは穴が空いてしまったのではなく、わざと穴を開けています。霰粒腫は瞼板から生じているため、瞼板側に穴を開ける(ドレナージする)ことが根治の上で大切だと考えています。瞼板側からの掻爬法と皮膚からの掻爬法のハイブリッドです。教科書や論文に書かれていない方法(私の知る限りでは)で、私のオリジナルなのかもしれません。15年ほど前にこの方法を編み出して?からは、術後の再発がなくなりました。この穴は1週間程度できれいに閉鎖します。これまでにこの操作による後遺症の経験はありません。

 

手術直後です。皮下出血も少なく摘出することができました。
術後1週間 抜糸後です。腫れが早く引けて良かったですね。

治りにくい霰粒腫で困っている方、ご相談ください。

【注意】

手術の経過、結果は症例ごとに異なります。手術にはリスクが伴います。

手術のリスク、副作用:出血、皮下出血、感染、霰粒腫の再発、眼瞼下垂、眼瞼の変形、傷跡がめだつ、局所麻酔薬アレルギー等

手術の費用:保険診療です。

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